2017年8月23日水曜日

第19章: 専門分野の開拓: 19-1 地元で需要のある仕事

 19-1 地元で需要のある仕事
実務翻訳者には多く分けて2つのタイプの人がいて、

・英語が好きで山を英語の側から登ってきた人  と
・専門分野が先にあって、後から英語を勉強したという、専門分野の側から登ってきた人

の2タイプです。

私は語学系の大学出身ですので、「英語の側から山を登ってきた」タイプの翻訳者です。仕事へは需要があるところへ呼ばれ、そこで四苦八苦して調べながら徐々に内容を理解していくしかありません。

私の出身の愛知県では、前にも書きましたが

・自動車関係
・航空機関係
・食品関係

といったメーカーが多い地域です。大きなメーカーは商品を海外に輸出していたり、海外で現地生産している場合も多くあります。

そうした背景で

・輸出入に関して発生する書類関係
・現地法人とのやりとりで発生する資料

など、かなりの量の英訳、和訳が発生します。

自分の地元で需要の仕事を必死でこなしていると、それが後になって自分の「専門分野」と言えるものになっている可能性もあります。

一度でも苦労して調べた経験のある分野は、必ず次の仕事に生きます。

私はちなみに、翻訳者の仕事を得る前は貿易事務の仕事をしていましたが、その時に覚えた輸出や輸入に関連する用語などが、何年も後になってから翻訳の時に役立った、ということがたくさんありました。

ですから私は、「仕事ではまずは呼ばれるところに行って全力でやっていると、経験と知識が自分の中にだんだん貯まっていく」
と考えています。

ある程度色んな分野の仕事を引き受けるようになると、「こういう分野の仕事が楽しい」「興味が持てる」というエリアが分かってくるので、それらの「得意分野」が大きい割合を占めるように、だんだんシフトして行けば良いと思います。

私は自動車関係の翻訳と契約書の翻訳が好きなので、Twitterのプロフィール欄にも「メインは自動車生産技術と契約書」と書いています。そうすることで、だんだん自動車関係の仕事が集まってくるようになります。知識が増えると訳しやすくなるので、またさらに好きになるという好循環です。

翻訳の仕事というと

「映画の字幕」
「本の翻訳」

などがすぐにイメージされますし、そういった芸術作品の翻訳にも関わりたい気持ちは私にもありますが、そういう気持ちも心の中に持ちつつ、主に企業や団体から持ち込まれる「ビジネスの中で発生する翻訳」で実践で翻訳力を磨いていくのが結局は近道であるように思っています。

0 件のコメント:

コメントを投稿